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今日のNHKのニュース9で、フランスの出生率の上昇についての特集が放映されていました。
日本における出生率の低下について懸念する声が多いことを反映してか、この報道は割合フランスの出生率に対して好意的でした。 が、しかし フランスの出生率の上昇を日本が本当に参考にできるのか、という問題があります。 フランスの出生率の上昇の理由について良く言われているのは次のようなものです。 ① 出産・育児に対する手厚い手当(政府による政策) ② フランス国民の1割以上を占める移民の人口流入及び彼ら(主に一夫多妻制まで認めているイスラム教の信者)による多産に伴う出生率向上への寄与 ③ 事実婚などでの出産に対してフランスが寛容(だから離婚を気にせずばんばん子供つくりに励むことが出来る) ④ 大学までの教育費の無料化 このうち、②に関してはたかだか人口の一割程度にしかすぎない移民が全体の出生率上昇に寄与するためにはかなりの子を産む必要があるため、それほど大きな関係はないと思います(もっとも実際に小学校へ行くと、移民系の子供が多かったりする現状もあるようですが・・・)。 やはり①と③、特に①は大きいでしょう。 実際問題として、3人以上子供を産めば、親が働かなくても最低限の暮らしができるほど手当てがもらえるわけなので、そりゃあみんな頑張るわけです。 フランスでは、働く女性の割合が全労働女性人口の8割とNHKでは紹介されていましたが、これには「共働きしないと生計を立てられない」という切実な事情もあります。したがって、一部の日本人が思い描いているようなばら色の男女共同参画社会の実現し、皆が満足しているかというとそうでななく、それどころか日々の生活に追われる人が多くフランス人の半数以上は「家賃高騰や失業などで自分が住む場所を失うかもしれない。」と半分怯えながら生きているのが現状です。 もっとはっきり言ってしまうと、 出世率が上昇したのにもかかわらず、社会には活気がなく、フランスの若者は仕事がないことや給料への不満から英米等へ脱出したがっているのがフランスの現状であり、出生率の上昇を政治家はともかく、一般国民がそんなに喜んでいるとは思えない。 というのが、2年近くパリに住んでいる私の感想です。 実際にフランス人の脱出先No.1であるロンドンでは300,000人のフランス人が滞在しています。この人口は、250,000人くらいのフランス第五の都市ストラスブルグよりも多く、「ロンドンはフランスで最も大きな都市のうちの一つだ。」と揶揄される理由になっています。 日本では考えられないような事がこのフランスでは起きているのです。 上記にあげた出生率上昇の理由のうち、③も実は大きな問題を孕んでいます。私は、ここで親が1人しかいない子供は不良になりやすい、等というつもりではありません。フランスではもともと失業者になりやすいので、親1人で育てると言うことはそれだけ経済的な破綻リスクが増大することを意味します。 もちろん、親1人での子育ては経済面以外でもリスクを伴うことは言うまでもありません。特に離婚を繰り返した場合、子供は結局親の都合に振り回されることになり、いい影響はあまりないと思います。 元々生物は親の犠牲の上に子供が成長して種の保存を図る方法が一般的です。 食べ物がなくなった場合や住んでいる場所が危険になった場合は親が率先して子供を連れて移動しますが、これは親の都合ではなく、単に生存のためです。 人間のように、自分の都合のみで親同士が疎遠になることは動物の世界ではありえませんが、動物の世界では逆にありえないことが家族道徳の規範が失われつつある今の現代社会の、特に先進諸国の間では起きつつあります。 自然のサイクルからはずれていった生物が生存を続けることができるのでしょうか・・・? この点において、欧州の更に先を行っている米国では最近、「家族の価値観を取り戻そう」という動きとともに、所謂保守派が増えてきました。 フランスは、米国よりもむしろ日本のようにまだ地域社会の網の目が張り巡らされている側面があるため子供の行動がある程度抑制され、まだ米国ほどの大きな問題になっていませんが、このような環境で育った子供たちが成人になるにつれ、これからフランスでも大きな問題になっていくに違いありません。 それから、④に関してですが、教育費の無料化は日本でも実施しても良い政策です。(もっともフランスの文盲率は日本よりも高いようですが・・・何故?) ただし、フランスの場合、大学まではすんなり行けても、いざ就職となると、若者には非常に厳しい現実が待ち受けています。 フランスでは、日本と違い、毎年定期的に新卒を採用するわけではありません。あくまでも、人が足りなくなった場合にのみ採用活動を行うと言うのが一般的です。いわゆる中途採用に近い形です。 こうなると、新卒であるということはメリットがありません。(新卒なんぞ旬の魚のようなもので、あっという間に終わってしまいます) それどころか、フランスは手厚い福祉が実は企業へ大きな税負担となってのしかかっており、その必然の結果として、ここ10年前後の間、フランスの企業は正社員を積極的に採用しなくなっています。 ちなみに、私の場合、計算してみたのですが、 社会保険料を額面給料(手取りではあらず!)に対して何と計70%前後も払わされています。 フランスに日本人駐在員を1人おくだけで、俗に給料の倍近くの費用がかかるという実態は真実です。 このような状況から、不景気の年には募集がなく、また仮に採用枠が運良くあったとしても、業務経験がないと採用されない可能性があるため、新卒有利とはいえません。 従って、フランスの若年層の失業率は高く、特に移民系の若者に至っては名前や居住地(一昨年暴動があったパリ近郊のサンドニ地区出身だと言うと、即ゲームオーバー)で差別され、ほとんど就職口がありません。 教育は受けても仕事がない。これって、はっきりいって一番効率の悪い税金の使い方です。要するに、税金をつぎ込んで一生懸命教育した人が国の役にたっていないわけです。それどころか、英米へ逃げ出している人が多い。 一体何のための教育費の全額無料化なのでしょうか? まあ、私なりの結論から申し上げますと、 ① フランスの出生率上昇がフランスに良い影響を与えるかどうかは将来にならないとわからない。 ② フランスの出生率上昇のモデルをそのまま日本が使えるわけではない。(導入の場合、確実に日本政府及び企業への負担が増えるため、消費税値上げ及び保険料負担の増大は必須。しかし、いずれの政策も間違いなく今の日本経済にネガティブな影響を及ぼすため踏み切ることはできず、結局政府のほかの支出を減らさない限り導入は難しい) ③フランスの出産奨励政策を含む福祉教育政策の維持は企業への重い税負担及び雇用負担(労働時間短縮の強制)となってのしかかっており、短期的に見れば経済にはマイナス要因。長期的に経済に良い影響が出るかどうかは不明。 ④ 根本的な問題として、今のフランス経済(及び社会)を活性化させるためにはその前提条件として政府は企業負担を軽くして企業活動をやり易くする必要があるが、その場合企業負担が重過ぎるため政府負担を増やさなければ無理だが、今のフランスはEU域内にあり財政面での勝手の行動は取れないので経済が伸びて税収が増えなければできない。しかしながら今のままでは経済は伸びない。(堂々巡り???) ⑤ 消費拡大のために最低賃金(現在、社会党のロワイヤル大統領候補が提唱)引き上げで個人消費の拡大を図る考えも、④と同様に財政規律の面から難しく、更に言えば周辺国との競争、東欧の所謂安い労働力の流入なのの圧力により、現実的に難しい。 ⑥ 今の福祉政策や出産奨励政策がすべて間違っているとはいえないが、週35時間労働や最低賃金よりも高い生活保護費の支払等、労働意欲を阻害し人々を安易に妥協させてしまう制度を続ける限り、フランスがこれから伸びるとは思えない。(せっかくの手厚いセーフティネットの意味がない。) うーん、フランス・・・ 出生率が上昇しているのに、あまり明るい未来は待っていないような・・・(苦笑) こう見てくると、フランスは一体何のためにEUに入ったのか、自分たちの生活がEUのために犠牲になっている、と考えても無理はないですね。 EUから離脱したいと考える人が多いのもわかるような気がします。 さて、日本の場合はどうすれば良いのでしょうか? ① 日本はフランスのような週35時間労働制は間違っても採用するべきではない。 ② 出産奨励政策はある程度までは見習っても良い。ただし、子供を3人以上産めば何もしなくても生きていけるというような過保護な政策は人間を怠けさせるだけなので導入すべきではない ③ まず出生率上昇ありきではこれから資源略奪合戦が始まる地球では必ずしも生き残っていけない。人口増は必要ない。適度なレベルまで日本の人口は落とすべき。従い、出生率は人口が維持できると言われる2.1以上ではなく、当面1.6~1.8あたりの現実的な目標を設けてその実現に力を注ぐべき。 最後に、日本はフランスのような大陸国家ではなく、境界が既に定まっている島国国家であり、自然発生的な人口移動による侵略の危険性がないこと、及び、世界の資源はこれからはかつてのように無造作に採掘できなくなり、既存の大量生産ベースの経済が破綻寸前であることを考えるとこれからの時代に人口増は必要ないというのが私の個人的な考えです。 まあ、我が家もまだ子供がいないので、あまり偉そうな事は言えませんが・・・(汗汗汗)
by witchmountain
| 2007-02-16 02:23
| フランスでの生活
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