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所謂「石油ピーク」に関しては、20世紀のオイル・ショック時代にも何回か語られてきました。 私も小学校・中学校時代には、「石油は後30年でなくなり、21世紀は原子力の時代になる、」と盛んに先生から言われたものです。 あの当時から30年後というのは2010年代頃を指すのですが、現時点で得られる統計データで見る限り、世界の石油の生産量は2005年にその上限を迎え、2006年、2007年とその上限を超えることが出来ずにほぼ横ばい状態が続いています。 石油を一番多く産出しているのはサウジアラビア、以下、米国、ロシアと続きますが、いずれの国もここ数十年間、サウジのガワール油田のような大型な油田が発見されたというニュースは聞きません。 一方、冷戦後、新しい油田の探索が進められましたが、超巨大油田と期待されたカスピ海沿岸やアフリカ沿岸はいずれも規模的にはそれほど大きくないことがわかり、結局中東の油田に世界各国の注目が戻りつつあります。 現況下、今後石油の生産量及び供給量は、中東での石油産出量が減少することに伴って減少する可能性が高いと言えましょう。 この情勢下で起こったのが米国によるイラク侵攻であり、中国のイラン接近であり、そして最近では日本とウラン産出国であるカザフスタンとの関係強化やアラブ首長国連邦における仏軍事基地の建設等です。 ただし、石油が仮に無限にあったとしても、人類がこの自然の恵みを無秩序に使い続けて良いのかどうかという別の問題があります。化石燃料の燃焼に伴う地球温暖化や環境破壊、有限である資源の奪い合い等・・・。 本書「石油ピークが来た」の著者の石井吉徳は、「地球は有限であり、人類は成長経済をいつまでも続けていくことができない。」との主張を、石油生産がピークを迎えたとの前提の下、過去の文明の歴史やエントロピーの原則等に触れながら、展開していきます。 さて、この本を読み終わった後の所感です。 ① 石油の生産量に限りがあることは、1970年代以降の米国の生産量の減衰や近年の北海油田の急速な生産量の減少という事実からして、疑いようのない事実。今後、世界最大の油田と言われているサウジアラビアのガワール油田の生産量が大幅に落ち込んでいけば(時期としては2008年後半~2009年前半にかけてから始まると勝手に予想)、サウジアラビアの石油輸出量ガ減るため、世界は更なる石油パニックになるかもしれない。 ② エネルギーの確保は、現人類にとって最重要課題である。当面はウラン(原子力)や天然ガス(但し、天然ガスは燃料以外にも必要なため、エネルギー用には使うべきではないと考える。)で代替可能だろうが、現在のガソリンやジェット燃料依存の陸空路の運輸をやめなければ、石油の減衰は早まる一方。陸路においては鉄道網や路面電車の徹底的な利用、空路においてはそれこそ水素エンジンを使った飛行機を開発するなどの諸策を一刻も早く講じる必要がある。 ③ 石油がなくなった時のキューバと北朝鮮の対応の違い(キューバは自然農業に回帰したのに対して北朝鮮はなんら手を打たなかった)について、著者はキューバを褒めているが、この意見には納得できない。キューバは熱帯地方に属するため、自然農業に回帰しやすかったが、元々気候の厳しい北朝鮮は食糧生産のためには否応なしに化学肥料等に頼らざるを得ない現実がある(もちろん、金王朝の失政も北朝鮮の食糧危機に多分に影響しているだろうが)。日本でも、現代農業以前の北海道や東北では度々冷害に悩まされてきたことを忘れてはならない。 ④ 筆者は、この本のところどころで、「石油危機に対する解決策は見つかっていない。今こそ、日本は欧米追従をやめて、自分自身で、自分達が生きる道を徹底的に考え抜くべきだ。」と述べているが、その一方で本の終わりに著者の考える日本のプランB(プランAが常識的な今までの流れに沿った形でのリスク回避プランであるのに対して、プランBとはより抜本的な変革を実施してリスクを回避しようとするプランのこと。故にBと呼ばれる。)として、より地域社会に密着し、より資源を少なく使い、「もったいない」という言葉をスローガンにつつましく生きるべきだと述べている。 確かに、省資源は間違いなく今後の世界における潮流になるであろうが、現実問題として今の消費文明に慣れきってしまった(特に先進国の)人類が、おいそれと生き方をすぐに変えることは難しいのではないか。 従い、省資源=リサイクル社会への移行に伴い人類社会における混乱は避けられず、これをどう乗り切るかが世界の共通課題となる。 なお、個人的には、エネルギーの確保さえ出来れば、リサイクルによる一定水準の消費社会の維持は可能ではないかとの希望を持っています。(たとえ、そのエネルギー源がウランであれ、太陽エネルギーであれ) もっとも、電気抵抗熱のエネルギーによる資源のリサイクルはでは現在の技術では難しく、結局化石燃料(もしくは水素)を燃やすことによって生じる燃焼熱でしかリサイクル(特に金属)は出来ないので、ここをどうやって乗り越えていくか、ですね。 技術過信は禁物ですが、全く希望がないわけではないので、引き続き人類の英知がこの困難を切り抜けることを期待するしかないのではないか、と思います。 人間誰でもそうですが、希望がなくなってしまえば、その人の人生は終わります。 悲観論も結構ですが、これからの混沌とするであろう社会において、少なくとも前向きな気持ちを持ち続けて生きたいと思っています。
by witchmountain
| 2008-02-25 02:17
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